いったん好きになると、痘痕も靨のようにかわいらしく見えることをいう。人間心理のあやをいったもので、惚(ほ)れた欲目で見れば、相手の欠点も長所として見えるのである。
〔類〕愛して其(そ)の醜を忘る/惚(ほ)れた欲目
〔出〕人情本(にんじょうぼん)・廓の花笠(くるわのはながさ)
〔会〕「あんな男のどこがよかったんでしょうね、彼女は」「痘痕(あばた)も靨(えくぼ)さ。惚(ほ)れちゃえば、王子様に見えるのよ」「それにしても、あの美人がねえ。もったいないと思うよ」